目的地は、二上山が眺望できる千股池湖畔です。高校時代ワンダーフォーゲル部で、毎年数回、歩荷訓練で二上山に訪れていたこともある馴染み深い場所です。特に二上山は、登るより眺める方が好きで、2つの小山の印象がとても可愛くて綺麗だなあといつも思います。
大阪市内から上ノ太子駅まで、片道約1時間半(約19.3キロ)。そこから竹内街道など見ながら、約4時間くらいかけてぶらりと走行します。
上ノ太子駅→叡福寺(聖徳太子御廟)→竹内街道→道の駅近つ飛鳥の里・太子→小野の妹子墓→磐城駅→千股池湖畔→竹内街道→上ノ太子駅

近鉄南大阪線の上ノ太子駅(かみのたいしえき)は、竹内街道の通過点にあたります。竹内街道は、大阪府堺市から東へ向かい、二上山南側の竹内峠を超えて、奈良県葛城市の長尾神社付近までの街道(約26キロ)のことです。難波から飛鳥に至る日本最古の官道ということです。612年からの道を辿れるなんて不思議な感じです
さっそく上ノ太子駅から竹内街道をメインに周辺を散策。まずは近くの叡福寺に向かいました。叡福寺には、境内に聖徳太子御廟があるお寺です。ここには、聖徳太子と膳部大郎女(かしわべのおおいらつめ)、母后・穴穂部間人(あなほべのはしひと)王后が眠っています。ものすごく早朝に来たせいもありますが、近所のおじいさんがお参りにくるくらいで、とても静かな場所です。



竹内街道に進路を戻して、街道をゆっくり走行します。普通に生活をされている方の住居が立ち並んでいる細い道を進んでいきます。あたり前ですが今時もお住まいもあれば、昔ながらの懐かしい造りの家もあります。今回は自転車で通過するだけにしているのですが、ゆっくり歩いて散策したくなる細い道がたくさんあります。


ゆっくり町並みを楽しみながら走行して数分後、「道の駅 近つ飛鳥の里」に到着。ここで一息ついて朝のコヒーを頂きました。外では近隣の農家さんの新鮮な野菜も販売されていました。


一息ついた後、もときた道を少し戻りながら「小野妹子の墓」へ向かいます。お墓といっても小野妹子の墓と伝えられているという不確なものですが、せっかくなのでお邪魔しました。小野妹子は、飛鳥時代の政治・外交家で、日本で初めて遣隋使として随に派遣された人物です。


小野妹子の墓に行き着くまでに、道を間違って行き過ぎてしまった場所があります。たまたまですが、その橋からの眺めも素敵でした。「倉掛大橋」という橋です。

休まずに次は、磐城駅に向けて竹内峠を超えていきます。ここの上り坂は大変でしたが、今回は、事前に坂道での走り方を学習してきたので、自転車から降りずに登りきることができました。
途中、釣り堀とレストランを発見。野菜の直売所などもあり、ここで休憩される方も多いみたいです。看板をみるとアスレチックもあるみたいです。子どもの気配が全くありませんが。。




大変だった竹内峠の先で、公道と竹内街道の二手に別れるのですが、下り坂のスピードに身を任していたら、その分岐を通りすぎて公道を走っていました。とはいえ、下り坂を気持ちよく降りるとすぐ磐城駅に。ここでいったん地図を見なおして、目的地の「千股池湖畔」を確認。ここからは、視界が開けた道が続き、左手には二上山が見えてきます。



二上山は、金剛山地の北部にあり、北に雄岳、南に雌岳の2つの山頂があります。雄岳は512メートル。雌岳は474メートルです。そんなに高くない山なので、ハイキングコースにもなっています。近くを通るとハイキング姿の方をよく見かけます。飛鳥時代からの歴史の背景や、神聖な山岳ということもあり、万葉集には二上山を詠んだ歌もあります。個人的には、歴史的背景云々よりも2つの山の姿がとても素敵で、魅入ってしまいます。
「千股池湖畔」は、二上山が眺望できるスポットとして、奈良県庁のHPにも紹介されている場所で、以前から訪れてみたかったので、感激です。この場所から、夕方は、絵に描いたように2つの山の間に陽が沈むそうなのです。今度は夕日を観に来たいと思います。

二上山を堪能した後、まだ午前中ですが、お昼ごはんにしようと近場にあった喫茶店で、サンドイッチを頂きました。たまたま見つけて入ったのですが、昔ながらの近隣の方が利用するような喫茶店で、とても居心地がよかったです。喫茶店のマスターのおばさんも親しみやすくて、ぼくが漫画本の棚を観ているとお薦めの漫画をすすめてくださいました。


復路は、竹内街道の終着点となる長尾神社からスタートし、上ノ太子駅に向かって、残りの竹内街道を走行します。ここも今時の家と昔ながらの家が混在して立ち並ぶ道が続いています。予め、この町のどこにどんな建物があるかなど、予習しておけばよかったと思いました。どうせなら昔ながらの建物をじっくり観ていきたいと思いました。今回は、二上山の眺望が目的だったので、次回来たときには、じっくりこの街を散策しようと思います。



途中に「綿弓塚」という場所があり、休憩所を兼ねており立ち寄りました。「綿弓塚」は、松尾芭蕉が竹内に宿った時に詠んだ句を記念した句碑が建てられています。「綿弓や 琵琶になぐさむ 竹の奥」という詩なのですが、句を詠む感性と感じる感性が全くないので、ぼくにはもったいない場所かもしれません。




綿弓塚を後に、最後に行きで通りすぎてしまった公道の横の竹内街道を走行。公道よりも道が緩やかで走りやすかったです。
自転車は電車や車と違って、機動力がありつつ、歩きと同様に素敵な景色をみつけたら立ち止まったり、気になるところを寄り道したり、自転車を押しながら散歩もできるので、すごく素敵な乗り物だとあらためて思いました。

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